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コラム『クリプトマーケティング視点から見た韓国市場概観』

前回は中国のクリプト市場を概観しました。本記事では、韓国のクリプト市場の理解を深めるためのクリプトマーケティング視点から見た簡単なインサイトをシェアしたいと思います。

 

 

 

 

 


 

市場環境

まず市場環境について。韓国では、韓国政府*1 やソウル市政府*2 、大手インターネット企業Kakao*3 を始めとした大企業など、国全体としてブロックチェーン技術の研究、開発が積極的に進められています。一方、投資面においては2017年の仮想通貨バブル、ICOブームを契機に仮想通貨投資は大変な人気を博しましたが、詐欺行為の横行や、著名仮想通貨系Youtuberの炎上などがあり、現在ではその過熱感は収束しています。併せて規制の整備も進められており、その過程で以前は数多くあったメディアやコミュニティサイトなどの関連事業の淘汰が進み、業界も健全化してきています。

 

 

習慣

仮想通貨に関連したところで言えば、韓国人の熱しやすく冷めやすい国民性がよく言及されます。象徴的な事例ではキムチプレミアム*4 が挙げられます。キムチプレミアムとは、韓国市場でビットコインの買い需要が過熱した際に発生する、韓国国内におけるビットコイン価格がグローバル価格に対して高くなる価格形成を指します。2017年末に最も活発にビットコインが買われていた時期には、最大20%のキムチプレミアムが発生しました。

 

 

メディア

韓国で特に強調すべきなのは、コミュニティサイトです。大きいものではCoinpan(コインパン)やCobak(コバック)が有名ですが、Naver Cafeという大手検索サイトNaverが運営するコミュニティプラットフォーム上にもいくつか非常に大きいコミュニティサイトがあります。彼らはこうしたサイトの掲示板で気軽に情報交換することを好みます。新しい情報に対しては、まず短く気軽な投稿を数多く交わし、関心が高いテーマについてはより深い議論を行います。

 

TOKENPOST、BLOCKMEDIA、Blockinpressが仮想通貨黎明期から運営されており、影響力を持っていました。しかし2017年の業界の盛り上がりと、その後二年間の市場低迷、さらに業界の規制整備が進むにつれ、メディアの新旧交替が進んでいます。特に現在ではNaverでインデックスされることがトラフィックに大きく影響を与えています。当局による規制のためコンテンツの表現についても厳しく、注意が必要です。

メッセンジャーアプリとしてはKakao Talkが最も人気であり、情報交換のベースになっています。よりリテラシーの高いユーザーの間ではTelegramもよく使われています。

 

 

インフルエンサー

韓国ではかつてYoutuberが最も人気のあるインフルエンサーとして非常に大きな影響力を持っていましたが、2018年に著名Youtuber、SpunkyがScamプロジェクトを紹介し報酬を得ていたことで炎上してから、Youtuberたちは影響力を失いつつあります(Spunkyはその後、襲撃被害にも遭いました)。最近ではブロガーが影響力を持っており、彼らはNaver Blogや一部のTelegramグループを通じて情報発信を行っています。

 

 

トレンド

韓国ではビットコイン、イーサリアム以外のアルトコインへの投資が人気であることが特徴として挙げられます。彼らはまだあまり注目されていない有望で小さなプロジェクトを探し出し、ハイリターンを狙います。その中で、新しくプロジェクトが立ち上げられる際にしばしば実施される、トークンエアドロップ(トークンの無償配布)も人気があります。日ごろからエアドロップ情報を探している人も多く、数日で数百人の応募が集まることも珍しくありません。

またオンラインで開催されるAMA(Ask Me Anything)イベントも人気があります。韓国で人気のブロックチェーン技術に基づいたソーシャルメディア、Bananatokで毎週開催されるAMAでは毎回エアドロップが行われ、数万人規模の活発なコミュニティに成長しています。

 

 

ファンド・プロジェクト

また機関投資家によるクリプト投資も盛んであり、#HASHED(ハッシュト)や日本企業LINEの子会社であるUnblock Ventures、Kakaoの子会社であるKakao Venturesなど多くのクリプト投資専門ファンドが存在します。特に#HASHED、はサンフランシスコにも拠点を構え、Ethereum、EOS、COSMOSを始めとした数多くのビッグプロジェクトへの投資実績を持ち、世界中で存在感を放っています。

 

グローバルで存在感のある韓国発のプロジェクトについても人気があります。Kakaoの子会社GroundX(グラウンドエックス)が立ち上げたパブリックブロックチェーン、Klaytn(クレイトン)や、韓国版イーサリアムと呼ばれるスマートコントラクトプラットフォーム、ICON(アイコン)などが代表的で、彼らは韓国ファンドを中心とし、グローバルで活動する主要なファンドから投資を受けています。

 

 


 

まとめ
・バブルを経て市場は健全化、規制は整備されつつあり、仮想通貨およびブロックチェーンの本格的な導入が進む
・韓国人の国民性に合わせたチャネル選定とコミュニケーション手法が必要
・いくつかのプロジェクト、ファンドはグルーバルで存在感を持ち、コミュニティもそれを注視している

 

下記のリンクからは中国、韓国の市場動向の概要と英語圏のクリプトメディア情報を見ることができます。

海外クリプト市場動向 ※2020年12月時点

 

*1 블록체인 기반 온라인 투표 시스템 나온다 (https://v.kakao.com/v/20200624165519865)
*2 서울시 11월 블록체인 행정서비스 도입 준비 ‘착착’ (https://blockinpress.com/archives/20618)
*3 Korean internet giant Kakao is launching a blockchain company (https://techcrunch.com/2018/03/05/korean-internet-giant-kakao-is-launching-a-blockchain-company/)
*4 Kimchi Premium (https://www.investopedia.com/terms/k/kimchi-premium.asp)